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海街diary

【評価】★★★☆☆

現実の風景や人間を現実よりも一段と美しく映す天才。これはもうヒーリング映画。

 

【紹介】

「誰も知らない」「そして父になる」の是枝裕和監督の最新作。原作はマンガ大賞2013受賞。

 

【批評】

とにかく絵が綺麗。

 

鎌倉の海、町並みは勿論のこと、すずが二人のりの自転車で桜並木のトンネルを抜けるシーンは実写であることを疑うほど美しい。これもまあ是枝監督の力であり、「そして父になる」のラストシーンを連想した人も多いはず。

2時間たっぷり、ストーリーにこれといった起伏なしの映画なのに、最後まで飽きずに見られるのは絵の美しさによるところが大きいと思う。

 

そして出て来る人物の心も、これがまた美しい。登場人物全員性格がいい。腹違いの妹との突然の共同生活がここまで無難に進むとは思えないけど、みんないい人だから大きな問題なく生活していく。すずもあまりに性格がよく、「幸ねえのこと、三人で一緒に考えたい」なんてこと言う中学生いない、いるはずがない。(無論、いい子を演じているのはそうだが、ここは本音だと信じている。)

このあたり、当然、ファンタジーであることを意識して監督は作られているのだと思う。今回は徹底して「美しい映画」を撮りたかったのだろう。

 

そしてこの映画は、泣ける。ラストシーン手前の、幸とすずが丘の上で叫ぶシーンはもちろんのこと、佳乃が幸に仕事で出会う「死」について質問するシーンなど、随所に泣けるシーンがちりばめられている。それも”さらー”と粘度の低い涙が流れる感じで、泣いているこっちの心が浄化される感覚になれる。

 

総評して、これはもうある意味「ヒーリング映画」だと思う。美しい景色と美しい人間ドラマを見せることで、観客の心を癒して浄化する効果があるのではないか。

 

ただし、ストーリーはどうなんだろう?という感じ。親との確執であったり、不倫問題であったり、テーマ自体はこれまでに使い古された内容ばかり。「ありきたりの問題に対して、可愛い女の子と地域の人たちが苦労する」という、なんだか、朝のNHK連続テレビ小説を2時間見せられているようでした。

 

それでも、最後まで飽きることなく見れるのは、この映画がヒーリング効果抜群だから。最近心が疲れているあなたにおすすめの映画です。