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バーニングオーシャン

【評価】★★★★☆

邦タイトルはダサいが、登場人物はかっこいい!

 

【批評】

日本人への分かりやすさ重視なのだろうが、邦タイトル『バーニングオーシャン』はダサい。そしてCMもダサい。興行重視なのも分かるが、作品の重みを削ぐのはいかがなものか。まぁ、このあたりはバランスなのだろう。

 

さて、本作は実際にあったメキシコ湾の石油掘削施設「ディープウォーターホライゾン」での爆発事故を題材としている。

簡単にいえば、利益優先で十分な安全確認を怠ったために引き起こされた「人災」であり、原油流失による環境汚染を伴う大事故となったわけだが、そう聞いて日本人としては人ごととは思えないだろう。

 

題材が題材だけに、教訓めいた話もあるのだが、本作は説教に終始しているわけではなく、うまくエンタメ要素を含ませることで鑑賞中はアクション映画として無邪気に楽しむことができる。

監督のピーター・バーグは『ローン・サバイバー』でも実話ものを描いており、実話をエンタメとして世に送り出す能力が高いと思う。

 

出演者の中では、私はジミー役のカート・ラッセルに注目したい。とにかくかっこいい!従業員の安全を重視し、親会社に歯向かう様子は惚れること間違いなし。そして炎が似合う!『バックドラフト』の兄貴の再来で、興奮してしまった。

 

トーリー自体はすごく単純で、予告編でほぼ全部出しているようなものだが、それでも事故が起こるまでを描いた前半のいや〜な不吉な感じ、事故が起こってからの脱出劇を描いた後半の迫力満点のシーンと、全編通して飽きることなく見ることができる。

 

前半の不吉な感じについては、コーラ、車の故障、ネクタイの色、バードクラッシュ、なまずと、不穏な仕掛けがふんだんに散りばめられている。また、「石油掘削」という一般人にはマニアックな世界も、効果的にテンポよく説明されるので、苦労なく入ってくる。

さらに、途中に車の給油シーンを入れることで、「石油が我々の生活に不可欠なもの」であることを自然に印象付けており、うまい演出だ。

 

ちなみに冒頭のセックスシーンは、岩盤に穴を開けて泥水を取り出す作業を暗示していると私は思っている。(考え過ぎかもしれない。)

 

そんな前半が終われば、後半は上質なアクション映画となる。すぐそこに避難できる船があるため『タイタニック』ほど絶望的ではないものの、立ち上がる巨大な炎はモンスターのようでもある。

 

途中、被害を食い止めるためにパイプを切断するシーンがある。「パイプ切断」は原発でいえば廃炉を決断するようなもので、たとえ被害を抑えるためであっても「権限がないとできない」とは、どこの世界も同じだなと考えさせられた。

 

 

ゴールデンウィーク、家族と見るもよし、恋人と見るもよし、気軽なエンタメとして楽しんでほしい。そして、その後に必ず、あなたの心に何かが残るはずだ。