64-ロクヨン-後編

【評価】★☆☆☆☆

ださい映画。

 

【批評】

酷評するので、本作が好きな人は読まないでください。

 

さて、本作は終始センスのないシーンばかりでとにかく酷かった。日本映画の駄目なところが詰まっている映画だった。

 

特に酷かったのは、ラストに犯人を逮捕するシーン。逮捕される父親を見て娘が(わざとらしく)鳴き叫ぶ声が流れながらのスローモーション。

ださい。本当にダサい。そして寒い。

何も考えず「クライマックスはとりあえずスローモーションにしとけばいい」という『踊る大走査線』スタイルを見事に引き継いでいる。

 

 他にもダサいシーンは盛りだくさんである。

 

白目を向いて意識を失う柄本佑。本格派シリアス映画だと思ってたのに、急にギャグ描写。

 

誘拐事件解決後、いびきをかいて寝ている柄本佑。そんなアニメみたいな演出あるか。

 

コスプレメイクでよちよち歩きながら「母さん!」と叫ぶ窪田正孝。相変わらずコスプレを脱せないメイククオリティ。

 

それを見てさいばしを握りしめる母親。さいばしって!いつの映画だよ!

 

犯人を追い詰めるシーンでは、犯人は都合よく河原に逃げていく。「今からここでびしょ濡れアクションシーンやるよー」と言わんばかり。ダサい。

 

今思うと、タイトルシーンの佐藤浩一の顔面アップからしてダサかった。あそこからヤバい感じはしていた。

 

無論、脚本も甘い。

例えば犯人の娘(妹)は、雨宮宅に進入しているところを佐藤浩一に保護されて事件が展開するのだが、そもそも女の子はどうやって雨宮宅に行ったのか謎。雨宮に誘拐されかけた過去はあるものの、自宅まで連れて行かれたわけじゃないし、なぜ住所を知っていたのか。いや、住所を知ったところで小学生が1人で行けるわけがない。

そもそも、雨宮宅に行った目的は貰ったものを返すためだろうが、だとしたら工場に隠れる意味もなく、堂々と玄関先に置けばいい。意味不明。

つまり、すべては事件を解決に持っていくためのまさに「都合のいい」展開でしかない。

 

その後の三上の行動もさすがに反則技という感じで凄い後味が悪い。原作も同じなのだろうか。主人公は正義感が取り柄だと思っていたが、とんでもなく汚いやり方でがっかりした。

 

さらに気になったのは、主人公夫妻の娘失踪問題。これがなんと解決されずに終わるのだ。

もちろん、ラスト近くに、明るい音楽にのせながらの公衆電話からの着信によって、娘の無事を暗示してはいるのだが、さすがにそれは説明がなさすぎる。そこはしっかりと解決させないと、カタルシスなんて生まれるわけがない。前後編にして時間はたっぷりあるのだから回収すべきところはちゃんと回収してほしい。ひどい。

 

偽装誘拐事件のラスト、お金を燃やすシーンでは、すぐそこに雨宮がいるのに誰も身柄を抑えない。ていうか捜査員は気づいてもいない様子。模倣誘拐の元の事件の被害者がすぐそこにいるのにスルーする警察って、意味不明。どう考えても1番怪しいだろ。ひどい。

 

とまあ、あげればキリがないのだが、とにかくひどくてダサい映画だった。

 

気に入らないのは、テレビ局製作なので広告は派手にやっており、さも名作かのように取り上げられているところ。こんな映画にお金を落とす人は気の毒だ。やっぱり前後編商法は駄目だなと実感した。

 

原作は人気であり、おそらくよくできているのだろうと想像する。

結局、ポルノ映画専門の監督が急に超大作を任されてまったく料理できていないといったところ。

もうポルノ映画に戻っていただきたい。