TOKYO TRIBE

【評価】★★★☆☆
園子温が思い付いたことを順番に映像化した作品。

【紹介】
架空の街「Tokyo」を舞台とする若者たちの抗争を描いた漫画「TOKYO TRIBE 2」を、全編ラップミュージカルで映画化。監督は「冷たい熱帯魚」「ヒミズ」の園子温

【批評】
評価は分かれるだろうなぁ、この映画。

基本的なスタンスは、園子温前作の「地獄でなぜ悪い」と変わらず、園子温が思い付いた面白そうなことを順番にやっていったら2時間経ちましたーという感じの映画。

脚本やら演出やらにたいした意味はないし、本当に監督の思い付きで話がすすんでいく感じ。
「いや、演出のひとつひとつに深い意味が」とか「ここは園子温ならではの表現で」とか言いたい人は言ってたらいーけど、耳を傾ける気がしない。

ただまぁこの映画を作れるのは園子温以外他なく、それを評価すると言えばできる。
特に、見る前から誰もが身構える問題のラップは大きな違和感もなく、挑戦は成功といえよう。
(この辺り、私はラップに詳しくないので容認できるのかもしれない。)

でも、さすがにストーリーはつまらなすぎるんじゃなかろうか。

最大の問題は、抗争のきっかけは「あいつのほうがちんこがでかいから」という部分の説明シーン。
これ松本人志の映画でもいえるんだけど、映画で滑ることを前提にそれを見越して自分でつっこんじゃうってめちゃめちゃ格好悪いと思う。「こんな下らない理由だったんですよー」というのは分かったから、せめて突っ込む権利ぐらいはくれよと。銭湯のシーンを描いてだらだらと表現することじゃないだろと。

それもこれも、話が全部園子温の思い付きだからなんだよね。いろんな登場人物を出して風呂敷広げるだけ広げて、最終的にぐっちゃぐちゃにして、放置すると。

彼にとって映画は「面白いことをする場」であって「何かを表現する場」ではなくなっちゃったのかなあ。次回作はトリンドル玲奈で「リアル鬼ごっこ」とか言ってるし。
園子温の商業化をひしひしと感じる、寂しさ込み上げる映画だった。

でもまぁ見てる間は面白いから、それはそれでいい。